柿田川湧水群は，富士山に降った降水が，約1万年前の三島溶岩流の下部を流下し，溶岩の末端から湧出しているものです．2011年(平成23年)に国の天然記念物に指定されました．

　柿田川湧水は，国道一号線沿いにある柿田川公園で見学ができます．第一展望台の東側の崖(黄色の矢印部分)が三島溶岩の末端です．固まった溶岩流が蓋をする形で，その下の岩盤と溶岩流の間にある水の流れやすいすきまの部分から湧水していることが分かります．富士山に降った雨水が流れ下ってきているものですが，その化学成分から，流下にかかるのは数年から十数年とされています．地下の岩盤のすきまで濾過されているので水質がよく，環境省指定の名水百選にも選ばれています．

　大量の湧水は，飲用のほか，工業用水などにも用いられているそうです．コンクリート製の丸い管は，公園ができる前にあった製糸工場の井戸の後とのことです．
　湧水のまわりには豊かな自然が残されていて，ミシマバイカモなどの貴重な生物群を観察することができます．